内容証明を送るときの注意点とQ&A

内容証明郵便を自分で作成して送るにしても、専門家に依頼して送るにしても、内容証明の効果や注意点を知っておく必要があります。このページでは内容証明に関する疑問や注意点をまとめました。

 

内容証明を送るときの注意点

相手が返信や対応をする義務はない

最も重要なことは内容証明郵便は「原則的には相手が返信や対応をする義務はない」という点です。内容証明郵便はあくまで手紙なので、内容証明郵便で送っただけで相手に支払義務が生じたり、契約が成立するわけではありません。内容証明で要求しても無視される可能性もある、と考えておくと無難です。

逆にクーリングオフや契約解除、時効の援用、期限の定めのない債務の催告のように、送ることに意味がある場合には有用です。また、あとで「こういう内容を伝えた」という証拠にはなります。

しっかり証拠や根拠があるか確認する

内容証明郵便は誰でも、内容の審査などなく送ることができます。このため、憶測の内容でも送ることができてしまいます。例えば、不倫の事実がないにもかかわらず「うちの夫と不倫しましたよね!?慰謝料を払ってください」と送ることもできてしまいます。間違った根拠などを理由に慰謝料などを請求してしまうと、逆に相手から損害を請求されたり、訴えられる(債務不存在確認訴訟)可能性もあるので注意が必要です。

内容に審査はありませんが、書式には審査というかチェックがあります。

誰の権利かをしっかり確認する

内容証明郵便は誰の権利に基づく要求なのかも注意が必要です。例えば、「彼女にお金を返してあげてください」「あなたの会社の〇さんを処分してください」などです。彼女が返金を求めているのであれば、彼女から送るべきですよね。会社が従業員をどう処分するかは、会社が決めることですよね。自分にそれを求める権利があるのか、それとも単なる「お願い」なのかを知っておく必要があります。

また、もしご自身がその人の「代理人」だというのであれば、その証拠であったり、根拠(例えば親権者など)を示さないと、「あなた誰ですか?どう関係するんですか?」と思われてしまいます。

誰に送るかも確認する

内容証明郵便は誰宛に送るのかも注意が必要です。例えば、いじめの問題であれば本人の親に損害賠償請求するのか、学校に責任や対策を求めるのか、教育委員会に調査などを願うのか、などです。会社関係であれば、会社に送るのか、従業員に直接送るのかなどです。

夫がスナックで働いている女性と不倫したからと言って、スナックのオーナーに「あなた店の従業員が勤務中にうちの夫と知り合って不倫したから謝罪しろ」と要求しても、「プライベートは知りません」と言われるだけでしょう。

身分を隠して送ることはできない

内容証明郵便は差出人の氏名と住所を書かないと、原則、送ることができません。(例外がないわけではありませんが…)住所を知られたくない場合などは、弁護士さんに依頼するのが良いでしょう。

関係や心情が悪化しないか注意する

近所の人、親族、知り合い、学校関係者に内容証明郵便を送るときは、その後の関係についても考えておきましょう。

内容証明を送る以外に方法はないか

内容証明郵便を送る前に、消費者センターや警察、ハローワークに相談することも良いでしょう。そこで色々とアドバイスを貰うこともできますし、そうした機関に相談した上での内容証明だとも書くことができます。また、内容証明郵便を送る以外にも、裁判所での調停であったり、少額訴訟であったり、意外と費用をかけずに行えることもあります。

※ 裁判所に関することは行政書士はアドバイスできません。弁護士さんにご相談ください。

費用対効果、労力や失敗したときのことも考える

内容証明は主張や請求を伝える際の有効な手段ですが、内容証明を送るだけですべて解決するとは限りません。内容証明が無視されたときのこと、費用対効果など、無視や拒否されたときのストレス、時間、費用なども理解した上で行動された方が良いでしょう。

 

内容証明郵便Q&A

ここからは内容証明郵便に関するよくある質問をまとめました。

内容証明の費用はどのくらい?

通常の内容証明で送るか、e内容証明で送るかによって異なります。枚数によっても異なります。配達証明をつけるか、なども関係します。おおまかに1千円から2千円くらいです。

受け取り拒否ってなに?不在との違いは?

まず内容証明は

一般書留とする必要があります

引用元:日本郵便

書留というのは、受取にサインや押印が必要な送り方です。つまり、内容証明は相手や相手の家族が玄関や郵便窓口で受け取らないとダメ、ということです。

通常、郵便局員さんは日中に配達に行き、多くの人は日中に働いているので、受け取ることができず、不在票が郵便受けに入れられることが多いです。このとき、相手が再配達の依頼をしなければ、基本的にはそのまま放置となります。不在票が入ってから7日以内に相手が受け取らないと、差出人に返送されます。不在票には差出人名(ご自身の氏名や弁護士事務所名)が書いてあるので、怖くて再配達をしない人は珍しくありません。

受取拒否とは、不在とは違って、郵便局員さんが玄関に訪問して、「書留です。サインか印鑑をお願いします」と言われて、「受け取りたくないので拒否します!」という対応をした場合です。

不在と受取拒否の違いは、効力が生じるかどうかですが、ほとんどの場合にはあまり関係しません。(クーリングオフや契約解除、時効の援用、期限の定めのない債務の催告など、送ることに意味がある場合には関係します)

特定記録郵便ってなに?

いま書いた通り、内容証明郵便は受け取りにサインが必要なため、受け取ってくれないデメリットがあります。普通郵便で送ると、相手が受け取ったかが分からないので、不安です。

この間にあるのが特定記録郵便です。特定記録は、内容証明と違って、受け取りにサインが不要です。相手が不在でも、相手の家の郵便受けにぽいっと入れられます。このため、再配達の依頼を待つ必要がありません。手紙を読んで貰える可能性が増えます。

また、普通郵便と違って、追跡番号が発番されるので、ご自身のスマホなどから郵便の状態(受け取った、宛先不明で返送されてくる)を確認することができます。また、内容証明は写真などを同封することはできませんが、特定記録郵便は写真なども同封することができます。

慰謝料請求書などであれば、法律事務所などから内容証明郵便ではなく、特定記録郵便で届くことも多くあります。ちなみに、レターパックも同じような送付方法です。レターパックも書留ではなく、追跡番号が出るので、同じような用途で利用されます。

配達証明とはなに?

配達証明とは

配達したという事実を証明するサービス

です。引用元:日本郵便

内容証明は、こうした内容を【送った】こと証明することができます。これに対して配達証明は、【相手に配達した=相手が受け取った】ことを証明することができます。具体的には、受取人や配達した日時が記載された配達証明証が、相手に配達された後に、ご自身の自宅などに郵送されてきます。送った時点で貰えるものではなく、後日、配達証明書というハガキが届きます

内容証明の写しと配達証明書をセットで保管することで、あとで「〇〇という内容を、いついつ相手に伝えた」と証明することができます。

 

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また、円満に解決できるときには、和解書、合意書、誓約書、新たな契約書や借用書など、さまざまな書類を作成する必要があるかもしれません

詳しくは【札幌市で契約書や借用書の作成を行政書士に依頼したい】もご覧くださいね。

内容証明郵便に関する説明は【札幌市で内容証明が送れる郵便局は?】をご覧くださいね。